こんにちは、モフェです。普段、私の街乗りの相棒、そして「動く秘密基地」として大活躍してくれているエブリイバン(DA64V)PCハイルーフ。実はこの車を購入するとき、絶対に譲れない条件がいくつかありました。その結果、行き着いたのが「PCグレードの5MT(マニュアル)」という選択です。
「今どき、あえて商用バンのマニュアル?」と思われるかもしれませんが、乗れば乗るほど、そして車中泊をすればするほど、この組み合わせが『実は一番贅沢で、合理的ナンバーワン』だと確信しています。
今回は、誕生の知られざる背景、メーカーであるスズキの情熱に触れることで、愛車への愛着がさらに深まるエブリイ。PCの5MTに惚れ込んでいる理由や隠れた魅力をお話したいと思います。
DA64V誕生の裏にある、スズキの「絶対に負けられない戦い」
5代目エブリイ(64系)が登場した2005年当時、日本の物流業界はある大きな転換期を迎えていました。それが「ネット通販(EC)の急成長」と「宅配便の取扱量の爆発的な増加」です。
ヤマト運輸が「リヤカー付き電動自転車」による集配を本格導入した2002年に続き、トラックドライバーの時間外労働に上限が設けられたのが2024年のことでした。
それまでの「企業から企業へ(BtoB)」の大口輸送から、個人の家に小さな荷物を大量に届ける「小口・多頻度の配送」へと時代がシフトし始めていました。ここで大活躍したのが軽バン。狭い路地裏でもスイスイ走れる軽バンの需要が、これまでにないほど高まっていたというわけです。
そんな中、ライバルであるダイハツが、2004年に一足早く新型「ハイゼットカーゴ」を投入。このハイゼットが広い荷室を武器に大ヒットし、軽バン王者のスズキは猛烈な危機感を抱くことになります。
そして、満を持してスズキが2005年に送り出したエブリイDA64Vには、「ダイハツから軽バン王者の座を絶対に守る」という、スズキの執念とも言える2つの大きな狙い(戦略)が込められていました。
① 「1ミリでも広く!」四角さへの原点回帰
先代の4代目(DA52/62系)エブリイは、乗用車ライクな乗り心地や安全性を意識して、鼻先が少し長い「セミキャブオーバー」という形を採用していました。
しかし、スズキは気づいたのです。
「運送業者や職人さんが求めているのは、乗り心地よりも『荷物をどれだけ積めるか』だ」
そこで64系では、フロントタイヤの真上に座る伝統的な「キャブオーバー」のレイアウトに事実上原点回帰させ、ボディを極限まで「真四角な箱」にしました。
ライバルを徹底的に研究し、荷室の長さ・幅・高さを1ミリ単位で拡大。「みかん箱が何個積めるか」「畳がそのまま入るか」という実用性の極限に挑んだ結果、あの無駄のないスクエアな美しさが誕生しました。
② 「仕事」から「個人の趣味」へのパラダイムシフト
もうひとつの狙いが、「軽バンを仕事の道具だけで終わらせない」ということでした。 2000年代中盤は、団塊の世代が定年退職を迎え、日本に「大人のアウトドア・一人旅ブーム」がじわじわと到来し始めていた時期です。
スズキは、運送業のプロが満足する圧倒的な広さを作れば、それはそのまま「一般の人がキャンプや車中泊、趣味の道具を積んで遊ぶための最高のベース基地になる」と確信していました。
だからこそ、商用バンでありながら、街乗りでも恥ずかしくないスタイリッシュなデザインに仕上げ、快適装備をプラスした「PC」や「JOIN」といったグレードを質感高く作り込んだのです。
この背景があるからこそ、「5MT」がさらに輝く!
この時代背景を知ると、エブリイのDA64Vオーナーの方はニヤリとしてしまう嬉しいポイントがあると思います。
当時、運送業界では人手不足対策やドライバーの疲労軽減のために、軽バンでも急速に「AT化(オートマ化)」が進んでいました。現在ではDA17Vなど一部を除き、軽バンも商用であってもAT(またはCVT)が前提になっています。
つまり、スズキが「プロの道具としての最高峰」を目指してエブリイDA64Vの車体を限界まで磨き上げていたあの時代は、「極限まで広くなった車体を、熟成された5速マニュアルでガシガシ操って楽しめる、黄金期」だったと言えます。
「運送業界の激変に対応したスズキの最高傑作」を、あえて今、趣味の車中泊の相棒として、しかも5MTで楽しむ。これほど贅沢でストーリー性のあるカーライフはありません。オーナーの方も、この「メーカーの意図」と「自分のこだわり」がバシッとハマる感覚に、きっと深く共感できるのではと思います。
「5MT」へのこだわり。実は、きっかけはボンゴから
私がその5MT「マニュアル車」を購入条件にしたのには理由があります。 実は昔、マツダのボンゴ(ロングタイプ)の5MTに乗っていた時期があり、そのときの「大きな商用車をマニュアルでキビキビ走らせる楽しさ」が忘れられなかったんです。
確かに、都会の激しい渋滞に巻き込まれたときは「ATだったら楽だな…」と頭をよぎることもあります。しかし、それ以上に、自分の気持ちやアクセル開度と100%シンクロするシフトチェンジの快感は、何物にも代えがたいドライブの充実感を与えてくれます。
パワーを使い切って走るエブリイの5MTは、毎日のただの移動を「楽しいドライブ」に変えてくれる魔法のギアだと思います。
荷室の「広さ」と「高さ」を求めてハイルーフを選択
もうひとつの絶対に譲れない条件が「荷室の広さと天井の高さ」でした。私の主な用途は、街乗りと「車中泊」です。
5代目となるDA64Vは、先代に比べて四角い箱型に原点回帰したモデル。そのため、荷室のスクエアさは軽バン界でもトップクラスです。
さらに「ハイルーフ」を選んだことで、室内での着替えや、座って過ごすときの開放感が劇的にアップしました。この数センチの天井のゆとりが、車中泊での快適性を大きく左右するんですよね。
高級グレード「JOIN」ではなく、あえて「PC」にした理由
エブリイのバンにはいくつかグレードがあり、順番に PA/GA/PU/PC/ジョイン/ジョインターボの6タイプがありますが、上級の「ジョイン」系ではなく、この「PC」だからこそ最高なポイントが2つあります。
① シートを畳んだときのガチの「フルフラット」
ジョイン系は後席シートが肉厚で座り心地が良い反面、畳んだときにシートの厚みで床に段差や傾斜ができてしまいます。
しかし、PCの後席シートはあえてシンプルな作りになっているため、床下に吸い込まれるように綺麗に収納でき、文字通り「完全な真っ平ら(フルフラット)」になります。
これ、車中泊でベッドキットを組んだり、マットを敷いたりするときに本当に重要なポイントなんです。
② 前席は電動、後席は「手動窓」という奇跡のバランス
そして、PCグレードの特徴でもある、使い勝手の優れた窓の開閉の仕様。 PCは、前席にはパワーウィンドウや集中ドアロック、キーレスが標準装備されているので、普段の街乗りで不便を感じることはありません。
運転中に「あ、助手席の窓開けすぎてた」というときに、すぐに締められるのは本当に助かります。
そして、後席の窓。後席の窓が「手動(手巻き)式」なのは、車中泊のときに最強のメリットになります。 電動パワーウィンドウだと、夜中に「ちょっと暑いな、換気したいな」と思ったとき、わざわざ運転席まで行ってキーを挿し、ACC(電源)をオンにしないと窓が開きません。
しかし、手動窓ならキーを挿さなくても、寝転んだままその場でクルクルと回すだけで一瞬で窓が開け閉めできるんです。そして「1cmだけ開けておきたい」という微妙な隙間のときも手動だとスムーズにできます。この便利さは、実際に車中泊をした人には分かる、PCならではの特権だと思います。
まとめ:仕事と遊び心を両立してくれる名車
快適な前席と、マニュアルを操る楽しさ。そして後ろを振り向けば、いつでもどこでも寝られる完全フラットな広大空間が出現する──。
エブリイバン「PCハイルーフの5MT」は、まさに仕事の道具としての合理性と、大人の遊び心をこれ以上ない高い次元で両立してくれた名車です。
現行型や新型が出た今だからこそ、熟成されたDA64Vを自分色に染めていく楽しさは格別です。これからもこの相棒と一緒に、たくさんの景色を見に行こうと思います。

「エブリイ DA64V PCハイルーフ(5MT)」への想いと、その背景にあるスズキの情熱についてお話させてもらいましたが、いかがでしたでしょうか?
車中泊のスタイルや車の好みは人それぞれたくさんあると思います。エブリイのオーナーさんがどんな使い方をしているのか、とっても気になる方もいるかと思います。
もしよかったら「こんなDIYや車中泊をして楽しんでるよ!」「私はあえてJOINターボで高速クルージングを楽しんでます!」など現役オーナーの方も、これから軽バンライフを始めようか迷っている方も、ぜひお気軽に下のコメント欄で教えてください。みんなでエブリイのディープな魅力について語り合えたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

